備忘録
その後妻が近所で捨てられていた子猫(こねこ)を拾って来た。
大部分まっ黒でそれに少しの白を交えた雌猫であった。
額から鼻へかけての対称的な白ぶちが彼女の容貌(ようぼう)に一種のチャームを与えていた。
著しく長くてしなやかなしっぽもその特徴であった。
相当大きくなっていながら通りがかりの人に捕えられるくらいであるから鷹揚(おうよう)というよりはむしろ愚鈍であるかと思われた。
しかしまた今までうちにいたどの猫にもできなかった自分で襖(ふすま)を明けて出はいりするという術を心得ていた。
しっぽを支柱にしてあと足で長く立っていられるのもまたその特技であった。
この「チビ」は最初の産褥(さんじょく)でもろく死んでしまった。
その後仙台(せんだい)へ行ってK君を訪問すると、そこにいた子猫がこれと全く生き写しなのでまた驚かされた。
2006-12-16T12:48:32